検索
  • Eiji Kano

[Digital Toolbox] 市民通報システム

更新日:5月2日

地域課題解決への住民参画をしくみ化するスマートシティの基本機能



1.概要

市民通報システムとは、道路の損傷や街灯切れなどの街の問題を、アプリを通じて行政に通報するしくみ。従来は住民はこうした問題を見つけた場合、電話や役所の窓口で通報しなければならなかったが、住民にとって行政への通報は敷居が高いし、通報できる時間帯も限られている。また、自治体側でも口頭での説明では状況の把握に手間がかかる。これをアプリを通じて行うことで、住民はいつでも気軽に通報を行うことが可能となり、迅速な問題解決を図れるようになる。また、自治体側でも早期に問題を把握できるようになるうえ、送信される画像と位置データによって正確な情報を入手でき、スムーズな事務処理が可能となる。


2.背景・効果・課題

(1)導入の背景・問題意識

多くの自治体は、過去の人員削減によってぎりぎりの体制に追い込まれており、財政状態も少子高齢化の影響で悪化の一途を辿っている。その一方で、対処すべき地域課題はますます多様化・複雑化している。行政がすべての地域課題に対応し続けることはもはや不可能となりつつある。

こうした中、住民の参画を得て、公民協働で課題解決に当たろうとする取り組みが各地で展開されているが、実際には十分に機能していないことが多い。取り組みの多くは、イベントや施設計画への参画といった一過性の活動や、福祉事業などでの実質的な行政サービスのアウトソーシングなどに終始している。こうした中で、本格的な公民協働の枠組みとして機能しつつある数少ない例の一つが、市民通報システムである。


(2)導入の効果

市民通報システムの導入によって期待できる便益は、住民側・行政・地域の3つの側面にわたる。住民は、いつでも気軽に、問題を行政に通報できるようになり、行政は、画像や位置情報によって、問題の状況をより的確に把握できるようになる。その結果、地域全体として、問題がより早期に解決されるようになる。

さらに、市民通報システムの意義は、こうした個別問題への対処のアプローチにとどまらず、従来の住民と行政の関係性そのものに一石を投じる、次のような革新性を有する。

①行政と住民のコミュニケーション方式の変革:アプリを介することで、住民-行政間のコミュニケーションが整流化され、スムーズで効率的かつ正確になる。

②地域課題解決の当事者意識の変革:これまで行政任せであった地域課題の発見・解決に住民が主体的に関わる機会を得ることになる。


(3)導入する上での課題や制約条件

市民通報システムには、様々なシステム方式があるが、その差異に関わらず、どの自治体でも、①組織内で円滑な業務連携を図るための役割分担や業務フロー、情報管理ルール等の体制整備、②市民通報システムの主役である住民の参画を促すための広報が重要となる。


他方で、以下の課題については自治体毎の条件に応じて異なる対応が求められる。

1) 利用者視点でのサービス設計

2) リピーター維持のための運用体制の構築

3) 対処の難しい通報者の存在

4) 個人情報とのデータ活用との関係性


3.導入事例

自治体での最近の導入事例のリンクとそこから抽出した概要情報を紹介します。

​<2020年10月号以降>

  • 宝塚市LINE公式アカウント~LINEで道路と公園施設の不具合を通報することができます(2020/12/8)

  • 武蔵野市の市政情報配信や道路の不具合通報等におけるLINE活用を支援開始(2020/11/9)

  • 東京都:「道路通報システムの試行」(2020/10/28)

  • 鎌倉市:LINEを利用した道路損傷等通報システムの実証実験を行います​(2020/10/22)

  • 富士市:市民通報システム(2020/10/19)

  • 長岡市:LINEによる道路や公園等の損傷情報の通報について(2020/10/1)


4.具体的に導入を検討したい方へ

事業者間サービス比較、他の技術とのシナジー、今後の展望、その他詳細

自治体が実際にサービス導入を検討する際に必要となる事業者サービスの比較情報や、他の技術と連携を図りシナジー効果を出すために検討すべき事項、今後の技術発展の見通しなどの情報を管理人のnoteで提供しています。ここで紹介している事業者サービスの比較情報は、実際に各事業者に照会をかけて事実関係を確認しています。


<関連リンク>

14回の閲覧0件のコメント